法隆寺五重塔は、どんな地震でも倒れない!

東洋経済オンライン
東京スカイツリーの地震対応にも採用されている「法隆寺五重塔」の世界最古の木造高層建築技術についての記事がありましたので引用して紹介します。

記事は、左巻健男氏編著

世界が驚く日本のすごい科学と技術: 日本人なら知っておきたい』(笠間書院)

から一部抜粋・編集して掲載されていました。

 

 

『記事タイトル】
 「法隆寺五重塔が地震で全然倒れない」納得の根拠
  東京スカイツリーにも導入されたすごい技術

 

    1. 1.五重塔は全体的にユルユルの構造
    2. 総重量1200トンもの五重塔が、1300年も世界有数の地震国日本で倒壊せずに残ってきたことは驚異的で、その理由は、「ユルユル構造」にあります。五重塔は、中心に立っている桧の柱(心柱)と周囲にある5層の瓦屋根(庇)からできています。

 

    1. 塔の重量はほとんどが庇にかかります。 その心柱の周囲は吹き抜けになっていて、階段すらなく、各階の庇とは直接つながっていません。

 

    1. 心柱が他の構造と接しているのは屋根の部分だけです。
    2. 心柱はただ地面から立っているだけで、庇自体の重量を支えているのは心柱とは別の16本の柱なのです。

 

  1. しかも、ある階の庇は下の階の庇に間接的に乗っているだけで、構造は階ごとに独立しています。 五重塔は、上に行くほど小さく軽くなっています。
                 

    これはデザインだけでなく、それ自体が五重塔の地震対策に大事な役割を持っています。

     

    大きな地震が来ると、各階の重量が違うためタイミングがずれて揺れるようになっています。

     

    その結果、各階は地震のとき、しばしば逆向きに振動し、各階の重心の変化は塔全体としては打ち消しあうことになります。
     

    塔が全体として大きく傾かなければ、塔を構成する木がしなって、その揺れを吸収できます。

     

    それでも大きな揺れが来ると、いちばん大きく影響を受けるのはいちばん高い屋根の部分です。
    実はそこに心柱がつながっていて、大きな揺れを心柱が吸収するのです。

    ユルく結合した庇が地上と最上部の心柱の両端で支えられていて、その間の各階が自由に動けるようになっているイメージです。
     

    こうして全体の間接的でユルい結合が地震のゆれをうまく吸収し、全体へのダメージとならないように設計されているのです。

 

2.五重塔を倒すほどの地震は、地球上に存在しない

地震の規模を示すマグニチュードには上限があります。
地殻を作っている岩石の構造が壊れてしまうので、無限に大きなエネルギーは貯められません。
 

1921年、東京帝国大学教授の大森房吉は、いくつかの実験を元に「五重塔を倒すほどの地震は(地球上に)存在しない」と結論づけています。

 

3.釘を使っていないため、解体修理が簡単

五重塔の構造は釘ではなく継ぎ手や仕口によって接合されているため、解体修理が簡単にできます。
実際に13世紀や17世紀、20世紀にも大規模な解体修理が行われました。

 

逆に言えば、五重塔は最初の設計時から解体修理の可能性までを念頭において作られたということでもあります。
 

天才的な先見の明といえます。

 

この構造は現代の専門用語で質量付加機構といい、この仕組みを使った地震対策は心柱制振と呼ばれます。
最近では東京スカイツリーの地震対応に採用されました。

 

スカイツリーでは中心を階段室という非常階段が貫いており、これが五重塔の心柱に対応していて、展望台の部分とつながっています(周囲の鉄骨造塔体とはオイルダンパーでゆるくつながっています)。
 
古代の高層建築に使われた日本の独自技術が、1000年以上の時を経て、最新の現代建築にも利用されているのです。

 

改めて、法隆寺五重塔のすばらしさを実感することができました。
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「法隆寺五重塔が地震で全然倒れない」納得の根拠
東京スカイツリーにも導入されたすごい技術

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